1.Block.Planet
-the Blue bird!-
原作/「青い鳥」
モーリス・メーテルリンク著
2022
本編は四部構成でお送りします。
Music.1 ''finger waltz''
Music.2 ''open view''
Music.3 ''青い鳥''
Music.4 ''Glider''
CAST&SONG&STAFF
出演/今井千香 . 松尾理代(京都芸術大学)
歌/小倉笑 . 瑠香(南極ゴジラ)
脚本.演出.美術.編集/たみお
照明/村山早咲
衣装/今井千香
音楽/岡本遼
撮影/福岡想
協力/一般社団法人 森の京都地域振興社(森の京都DMO)
企画.製作/ユリイカ百貨店
助成/新型コロナウイルス感染症の影響に伴う京都市文化芸術活動緊急奨励金
special thanks to Nagao Takahiro(NEW DOMAIN).Nue inc.佐原誠.藤木勝利.坂口遥.尾崎しのぶ.入江拓郎
1.Block.Planet とは
ʻʼショーウィンドウʼʼの中に物語を閉じ込め、最小サイズの劇場 を作る、一種の表現形態の独自の名称。小さな空間の中に、大 きな物語を閉じ込めることはできないか、実験を重ねていま す。
これまでは、ギャラリーでこの形態を作ってきました が、2020年のコロナ禍を受けて、2018年構想時に思い描いた ガラスに囲まれたʻʼショーウィンドウʼʼそのものの形に着手する ことにしました。
また、題材とする作品をメーテルリンク「⻘い鳥」に定め、今 の時代を踏まえた作品として取り組みます。
''ユリイカ百貨店''は舞台創作をメインに活動してきました。こ れからも生の時間芸術である舞台と共にあれるよう、メンバー の得意分野をブラッシュアップし、活かす機会として、手探り で今作に挑むことにしました。
私たちのチームにとって、初めての映像作品です。
劇場作品でもあり、映像作品でもあるように
地球という箱(劇場)の中に、太陽という光(照明)と、森という舞台美術の中に、ワンブロックプラネットという劇場形態を立ちあげ ます。劇場作品でもあり、映像作品でもあることを現しています。音楽を多用し、セリフは最小限に抑え、イメージの世界を共に旅 ができるようにできないか、挑戦しています。
また京都の森を案内する「一般社団法人 森の京都DMO」の方にご案内いただき、森のロケーションは全て京都の豊かな森で行いま した。
『⻘い鳥』
作者はフランスのモーリス・メーテルリンク。1908年著作。戯曲の形式で発表されている。1911年にノーベル文学賞受賞。
-原作あらすじ-
クリスマスの夜、貧しい兄妹のティルティル(兄)とミティル(妹)は、魔法使いと出会う。魔法使いの娘が欲しがってるという、手に入 れると幸福になれる「⻘い鳥」を求めて、二人は「光」に導かれ旅に出る。物語の序盤、兄妹は魔法使いから託された、ダイヤモンド がついた小さな緑色の帽子を託される。それをかぶってダイヤを回すと「いろんなものの中まで見えるようになる(作中台詞より)」
「だが勇気をふるってかくれて見えない他のものも、 同じように見なければならない (作中台詞より)」
自分で求めて手に入れた幸福(⻘い鳥)は、すぐに色あせ、誰かにあげる幸福は色を保つ。「見えないものを見える」ようにする緑色の 帽子が、幼い兄妹に「ものごとの本質」を見せていく。幻想的なシチュエーションと優しいセリフで描く、本当の幸福に気づく旅。
『持続可能な世界と共にあるためのいつくかの表現』
今作は、コロナ禍の中で暮らす私たちの「今」に注目して立案しました。今の状況から離れて作ることも幻想の大切な役割かもしれませんが、いつか「今」が過ぎ、それがどんなものかも想像がつかない新しい世界へと向かっている最中、そんな中でも、作り手としてメンバーが手を動かし続けたことを記録として残しておきたいと思ったからです。
①美術は全て、古雑誌を使用しました。
合計8冊の雑誌を切り抜き、美術全体を覆っています。本来なら塵になるものを用いて再構成しています。パーツごとに別れており、次回作でも組み合わせを変えて使用する予定です。雑誌のコラージュを用いて情報に溢れ身動きが取りづらくなった世界を表現しています。
②舞台は森
排出されるCO2を循環しまた空気に返してくれている「森」をもう一つの舞台として選びました。自然から離れては生きていけないこと、改めて「気候危機」と見つめ合いながら、生きて行くことになることを。
③二つの目
映像の中には二つの目が登場します。原作の「青い鳥」は、目に見ない真実を想像力と考察で再発見することを主題の一つとしています。目に見えること、そして目に見えないこと、それらに気づく知識に基づいた想像力を求めることを諦めないように。
④何も入っていないクリアな箱
どんな未来を生きて行くのか、分からない今。もういちど人としてのピュアな感性と共にありたいことを表現しています。
他にも様々ありますが、メンバーの岡本が作り出すオリジナル音楽と、そこにのる歌声、ミュージックビデオと芝居を重ねる挑戦も行なっています。ぜひご高覧頂きますよう。